透き通るエメラルドブルーの海に青い空。国内有数のビーチリゾートがある沖縄県。美しいビーチや亜熱帯の緑豊かな自然に心を奪われますが、ちょっと違う沖縄の旅を味わいたくて「琉球八社めぐり」をしてきました。パワースポットの宝庫であり、沖縄県民の心の拠り所。御朱印も授かり、各神社の伝説などを楽しみながら、素晴らしい思い出となりました。
◆ 琉球八社(りゅうきゅうはっしゃ)とは?
恥ずかしながら、沖縄で神社というイメージがありませんでしたが、沖縄は拝みの文化を大事にしてきた土地柄です。現在でも各地に多くの拝所(うがんじゅ)が残されています。
琉球八社とは王府から特別の扱いを受けた八社「波上宮・沖宮・識名宮・天久宮・末吉宮・安里八幡宮・普天間宮・金武宮」の8つの神社の総称です。
琉球八社でそれぞれ御朱印をいただきました
高野山で修業を積んだ日秀上人(にっしょうしょうにん)が金武に流れ着き、金武宮を開き、真言宗と熊野信仰を広めたと伝えられています。琉球八社のうち七社が熊野権現をご祭神としてお祀りしており、安里八幡宮一社のみ八幡神をご祭神としています。
当時の社寺は貴族以上の階級や国王・国家によるもので、一般民衆が信仰していたのは各村落にある御嶽(うたき)拝所であるとされています。
今回の旅では他の観光地も立ち寄ったため、数日に分けてお参りをしましたが、レンタカーで効率よく一日で「琉球八社めぐり」をすることもできます。
◆ 波上宮(なみのうえぐう・那覇市)
琉球八社の中で最も地位が高いのが波上宮。真言宗の本寺である護国寺の境内に波上宮があったからと言われています。ご祭神は熊野三神の「伊弉冉尊(いざなみのみこと)」「速玉男尊(はやたまをのみこと)」「事解男尊(ことさかおのみこと)」
沖縄総鎮守の波上宮
波上宮が建つのは崖の上。創建年は不明ですが、この崖の上で人々は海神の国(ニライカナイ)の神々に豊漁と豊作と日々の平穏な暮らしを祈り、聖地・拝所となりました。
波上宮の伝説には「往昔、南風原に崎山の里主なるものがあって、毎日釣りをしていたが、ある日海浜で不思議な“もの言う石”を得た。以後、彼はこの一に祈って豊漁を得ることができた。この石は光を放つ霊石で彼は大層大切にしていた。このことを知った諸神がこの霊石を奪わんとしたが、里主は逃れて波上山(現在の波上宮の鎮座地)に至り、信託があった。『吾は熊野権現なり。この地に社をたてまつれ。しからば国家を鎮護すべし』と。そこで里主はこのことを王府に奏上し、王府は社殿を建てて厚く祀った」とのこと。
崖の上に佇む社殿は壮観
崖の上に立つ波上宮は壮観で、観光客にも地元の方にも人気があり、特に初詣は多くの人で賑わいます。私が訪れた際には、結婚式が行われ、新郎新婦親族の方々が記念撮影をしていました。赤い社殿に狛犬ならぬシーサーが配され、沖縄の鮮やかな雰囲気が漂う神社でした。
波上宮のすぐ隣には波上ビーチ
波上宮を海側に向かって右手側に向かって進むと、那覇市内で唯一泳げる「波の上ビーチ」があります。ビーチからは青い海・白い砂浜・波上宮が建つ崖が見られますが、残念ながら社殿までは見渡せません。崖の上の社殿を撮影するのは、橋の上からがお勧めです。
◆ 沖宮(おきのぐう・那覇市)
那覇市の奥武山公園(おうのやまこうえん)内の高台に鎮座しています。ご祭神は初めはご霊木が祀られたと言われています。15世紀中頃に那覇港内で不思議に輝くものを国王がご覧になり、漁夫に命じて探らせると尋常ならざる古木を得たそうです。翌日より水面が輝くことがなかったため、この地に宮社を建ててお祀りし、以後国王はじめ一般の尊崇を集めたとのこと。特に航海安全を祈願したそうです。
奥武山公園にある沖宮
沖宮は天照大御神が降臨した聖地とされ、相殿中央に天照大御神、相殿左に父母の御神、相殿右に三体の乙女大御神と熊野三神が祀られています。
沖宮本殿
境内は那覇の街が一望できる天燈山御嶽や住吉神社、八坂神社、弁財天宮、権現堂などあるので、お忘れなきようお参り下さいね。御朱印は種類が豊富でどれをいただくか、とても迷いました。
沖宮本殿後方に霊験あらたかな聖地「天燈山御嶽」
そして野球ファンならば、もしかしたらこの神社をご存じの方も多いかもしれません。沖縄県をキャンプ地としている読売ジャイアンツの選手が参拝に訪れます。キャンプ地の「沖縄セルラースタジアム那覇」は奥武山公園にあります。
◆ 識名宮(しきなぐう・那覇市)
首里城から最も近く、洞窟で見つかったお釈迦さまの弟子、「賓頭蘆(びんずる)」の像を祀ったのがはじまりです。尚元王(しょうげんおう)の長男が病気平癒の祈願をしたところ、日に日に病が回復したため、王子は自分の財を奉納して識名宮を創建しました。
参道のフクギと石垣が印象的
御祭神は熊野三神の他、識名女神と午ぬふぁ神を祀っています。「病気回復」や「子宝」などのご利益があります。拝殿の後ろに本殿と洞窟がありますが、神社の社殿はもともと洞窟の中にありました。洞窟は毎月1日と15日に解放されます。(中には入れません)
◆ 天久宮(あめくぐう・那覇市)
聖現寺(しょうげんじ)の境内にある神社です。伝説では、法師を従えた気高い女人が時に洞窟内で消える様子を見かけた翁子が王府に報告し、王が確かめこの地に社殿を建立しました。
鳥居の横の階段を下ると本殿に
その後、「我は熊野権現なり。衆生の利益の為に現れたり。かの女人は国家の守護神なり。弁財天である。」という神託がありました。御祭神は熊野三神。境内摂社に弁財天があります。
神社は御嶽形式でお祀りされ、三層構造。鳥居から階段を降りたところに拝殿と弁財天があり、その下に御嶽(泊之ユイヤギ御嶽)、三日月ウカー(井戸)があります。沖縄では井戸には神が宿るとされ、大切な拝みの場所になっています。鳥居奥の駐車場にも御嶽拝所があるので、お見逃しなく。
◆ 天久宮から少し足を伸ばして・・・
琉球八社ではないのですが、天久宮から徒歩10~15分ほどのところに「天龍大御神の御嶽」があります。天龍大御神は沖縄に初めて降臨した龍神とされており、沖宮と天久宮の御祭神です。
今回ご紹介したのは、琉球八社のうちの四社。那覇市内の神社をご紹介しました。残りの四社はバトンタッチをして後半に続きます。後半の神社は那覇を離れ、神社の中に鍾乳洞があるなど見どころが多い神社です。ぜひお楽しみに!
天久宮の御朱印
スタッフYN
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